目次
はじめに
大和の国 大峯山に登った私が、何故か役行者に興味を覚え、所々に祀られているのは、我々日本人に内在する神仏と原始信仰による複合した心情があるのでは、と気付き、書物を繙くと、多種多様な伝承となり、日本人の集合無意識の集積となっている。それは一言すれば「神仏習合」であり、我国の信仰における宗教観の流れであろう。
平成十六年(六十歳)を調査の始めとして、自分なりに活動していたが、その石像は多数存在し、一個人の成せる事ではない。その後芦田成人氏が継続して下さり、二十年を一区切りとして、不完全・不備であるが、現状の記録として残す事になった。この思い付きの調査がここまで来られたのは、石川智彦先生の励ましが目に見えぬ力で背中を押して下さったのと、友人から折に触れご教示をいただいた事にもよる。
大峯・役行者大好き人間は、日本人の一つの男の類型でもあり、日本宗教の宗派を越える国民性の顕現であるのかもしれない。