無伴奏チェロ組曲全六曲
今日、柏木夫人が CD<無伴奏チェロ組曲全六曲> を持参、暇人の私はすぐ聞いた。
チェロ組曲は大好物、全曲通して、感想を表現する言葉が見つからない。しばし熟考して黙想した・・・見たこともない光景、食したことない味・・・奏者は十一歳の少年だと・・・
“驚いた”
この曲は高校時代に先輩宅でカザルスさんで聞いて以来、耳タコができるほど愛聴している。私は法螺とチェロを愛するヘボチェロ好き人間である。
一番から六番まで流れは流麗・玲瓏、やっと適当な表現を思い付いた。これはどのような方が奏しているのか。
「バッハの魂をミューズの神が誰に聞かすもなく、天上より下界にさりげなく伝えた・・・という感じだ」
曲の流れはどこにもさまたげるほんの少しの淀みもない。一番より難曲の六番にと大海に注ぐ、テンポは早めの曲もある。装飾音も好ましい、全曲が結局大なる一曲となって終了した。
若き日には
若き日には、名曲を拝聴する時は、褌をしめて・・・などと思ったものだが・・・世界的巨匠の演奏会やレコードを聞いて・・・一番愛聴している曲でもある。
このCDの奏者 林成さんをこの世に送りだした(神・仏・ミューズの神・大自然)も驚いているだろう。バッハが現在蘇って実演をお聞きになったら、パブロ・カザルスが世に出したこの名曲を、かくも若輩の少年の名演に感嘆を通り越して感激のあまり腰を抜かすかもしれない。
正に『無垢のバッハ』である。
令和4年1月20日 平 田 蘭 酔