西行法師礼讃愚考  令和2年9月14日

 新型コロナに日常生活が翻弄されし感のある今日此の頃、今朝近くの公園の子供の遊具が使えぬまでの草深きをみて、公園前の府道の草取りの労を惜しまぬさる夫人を伴として、草刈り機にて一部除草。

 元気者自認の愚生、今春脊椎狭窄症を発症、喜寿の警鐘か、ここ半月少し改善。シャワーを浴び、缶ビールを一献。

 座右の『山家集』(岩波文庫)をパラパラ、ボロボロになっている。

「西」の歌三首。

    月見思西ということを

山のはにかくるる月をながむれば我も心の西に入るかな

  

    易往無人の文を

西へ行く月をやよそに思ふらむこころにいらぬ人のためには

  

    観心

闇晴れて心の空にすむ月は西の山べやちかくなるらむ

  

次の歌は気が付かなかったが心に響いた。

   暁念仏といふことを

夢さむるかねのひびきにうち添いて十度の御名をとなえつるかな

 以前は深い意味が解らなかったこともあったが、何か解ってきたような気になっている。どうも自分の年齢と関係があるようだ。

  入日さす山のあなたは知らねども心をかねておくり置きつる

これはよく解る。

  ありがたや西の覗に懺悔して弥陀の浄土に入るぞ嬉しき

           「大峯山(山上ヶ岳)西の覗の行場秘歌」

若き日、往年の登拝で合唱したこの歌は、他人事のように思っていたが、後期高齢者が喜寿を迎え、自己の人生を振り返って、喜んでよいのか悪いのか、西に向かっているのは間違いのない現実である。よき時代に生を受け、安心立命とはいかないまでも、御縁の有難さをじわりと感じるこの初秋の一日である。

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このブログの著者

昭和19年(1944年)3月24日、大阪府枚方市生まれ。平成の御代、大峯山登拝修行に専念し、75歳で引退。令和元年(2019年)に自身の修験と法螺にまつわる手記をまとめた著書【平成の大峯山】を出版。現在は法螺貝と蘭と酒を愛す毎日。ただいま役行者石像の研究に没頭し、研究成果の出版本を準備中。

法螺貝研究所
〒564-0061 吹田市円山町5-3
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メール:hira_hira@iris.eonet.ne.jp

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